DIY家具や店舗什器の製作に欠かせない素材の基礎知識について
解説したいと思います。
こんな人におすすめの記事です。
- 「繊維板(ファイバーボード)」どんな用途や種類があるか知りたい。
- 「繊維板(ファイバーボード)」について学びたい。
出展:日本繊維板工業会
DIY家具や店舗什器に使われる木質基材(台板)の代表格として、
合板、集成材、パーティクルボード、繊維板(ファイバーボード)等があります。
今回は、木質基材(台板)の中で、繊維板(ファイバーボード)の基礎知識 を記載します。
第一回 店舗什器素材の基礎知識「合板」
第二回 店舗什器素材の基礎知識「パーティクルボード」
繊維板(ファイバーボード)とは
木質ボードには繊維板(ファイバーボード)とパーティクルボードがあります。
繊維板はファイバーボードとも呼ばれ木材そのほかの植物繊維を主原料とし、これらをいったん繊維化してから成型した板状製品の総称です。

上の画像のように、
木材の原料チップを粉状に繊維化してから成形した板を総称してファイバーボードといい、
ファイバーボードは密度により用途及び製法によって以下の3種類に分けられます。
- 硬質繊維板(ハードボード)
- 中質繊維板(MDF)
- 軟質繊維板(インシュレーションボード)

硬質繊維板(ハードボード)
ハードボードは5mm以下の薄物が中心です。
高温高圧のプレスを用いて製板するので表面は平滑で、固く強い曲げ強度を持っているのが特長です。薄くて密度が高く、板厚の割には強度的性質が優れています。
金属板のように打抜加工、曲げ加工ができ塗装などの二次加工性も優れています。
高強度で日本ではコタツの裏板や車のドアの内板として使われることが多いです。
棚板、家具、建具、内装材、コタツの裏板、背板等
主に木材などの植物繊維を成型した繊維板のうち、密度が0.80g/cm3以上の板状製品です。
中質繊維板(MDF)
MDFは、表面、木口が繊密で、ルーター切削などに最適です。
また塗装、各種オーバーレイ加工に適しており、密度を高めに設定した構造用MDFもあります。
表面が硬く平らで滑らかであり、水や湿度に対する寸法の安定性にも優れています。
さらに小口面も緻密であることから、機械加工や彫刻、曲面加工、塗装を施したときにも綺麗な仕上がりとなります。
システムキッチンやクローゼットなどの家具・建具材、ドアや窓枠、フローリングなどの造作・内装材、スピーカーのキャビネット、など様々な用途で利用されています。
密度が0.35g/cm3以上でドライプロセスによる板状製品です。
軟質繊維板(インシュレーションボード)
インシュレーションボードは多孔質で吸音性に優れた素材です。
また多孔なつくりは、熱の伝導率を低くし熱を伝えにくくします
インシュレーションボードを建材として使用した建物は、冬は暖かく夏は涼しい環境を保ちやすくなります。
インシュレーションという言葉には遮断や絶縁という意味があり、内装だけでなく、床の冷たさを伝えないよう、畳の芯材などにもよく使われています。
また、インシュレーションボードにアスファルトをしみこませた、
防水性に優れる板は「シージングインシュレーションボード」といわれる。
主に密度が0.35g/cm3未満のもの、アスファルト処理したシージングボードは密度0.40g/cm3未満の板状製品です。
その他パーティクルボード
ファイバーボードではないですが、
パーティクルボードは、木材その他の植物繊維質の小片(パーティクル)に合成樹脂接着剤を塗布し、一定の面積と厚さに熱圧成型して作られる板状製品です。
詳しくは什器素材の基礎知識「パーティクルボード」をご確認ください。
サイズ
昔は繊維板(ファイバーボード)の標準サイズはJIS規格にて、910mm×1,820mm 1,210mm×2,420mmなど
何種類かに規定されていましたが、改定により任意の組合せが可能となる範囲表記となりました。
改定によって以前よりも多様なサイズの繊維板(ファイバーボード)の流通が可能となりましたが、
多く流通していて、家具や什器の製作に多く利用されるのは、
サブロクと呼ばれる900mm×1,800mmや、
シハチと呼ばれる1,200mm×2,400mmなどのサイズとなります。
品質基準
繊維板(ファイバーボード)は、JIS規格にて表裏面の状態、曲げ強さ、接着剤、ホルムアルデヒド放散量及び難燃性によって区分されています。
ホルムアルデヒド放散等級は高い順から、F☆☆☆☆、F☆☆☆、F☆☆となり、これはJAS規格と共通基準になっています。
このホルムアルデヒド放散等級は、木質基材に使用する接着剤の化学物質が発散する有害なガス(ホルムアルデヒド)がシックハウス症候群の原因物質の1つとして大きな問題となったことを背景に、2003年に建築基準法で規制されるようになりました。
今では家具や什器の製作には、F☆☆☆☆(フォースター)を使用することが常識となっています。
繊維板(ファイバーボード)の特徴
繊維板(ファイバーボード)は、他の合板やパーティクルボードなどと比べ、表
面が硬く平らで滑らかであり、水や湿度に対する寸法の安定性にも優れています。
さらに小口面も緻密であることから、機械加工や彫刻、曲面加工、塗装を施したときにも綺麗な仕上がりとなります。
原料は、合板などには不向きな小径の樹木や端材の利用が可能なほか、建築解体材などの廃材のリサイクル利用も可能なので環境に優しい木質基材と言えます。
天然板に比べて価格も安価です。
一方、高湿度で劣化しやすいので、湿気の溜まりやすく、結露が発生するような場所での使用には注意が必要となります。
まとめ
繊維板(ファイバーボード)は様々な家具に利用されている身近な素材です。
今回の「繊維板(ファイバーボード)」の基礎知識。
DIY家具や店舗什器の製作にお役立ちいただけたら幸いです。
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