店舗什器素材の基礎知識「合板」

素材の基礎知識

DIY家具や什器の製作に欠かせない素材の基礎知識について
解説したいと思います。

DIY家具や什器に使われる木質基材(台板)の代表格として、
合板、集成材、パーティクルボード、MDF 等があります。

DIY家具や什器の製作には、これら木質基材(台板)の表面にシートや薄い板などを貼って
見た目を美しく加工した 化粧板(化粧合板)を使用することが多いです。

家具のカタログで よく見かける『背面化粧仕上げ』『背面化粧貼り』の表記は、
「背面にも化粧板を使用していますよ」という意味になります。

今回は、木質基材(台板)の中で、合板 の基礎知識 を記載します。

こんな人におすすめの記事です。

  • 簡単に「合板」について学びたい
  • 「合板」どんな用途があるか知りたい。

合板とは

合板は木材を大根のかつらむきのように薄くむいた単板(ベニヤ)を乾燥させて、
それを繊維方向が直交するように互い違いに奇数枚(3枚や5枚のケースが多いようです)接着剤で張り合わせて一枚の板にしたものです。

断面を見てみると縞模様になっています。これは、木目方向(繊維方向)が交差するように積み重ねているからです。交互に積み重ねることで、歪みや反りを抑え、頑丈な仕上がりとなります。

歩留まり(原料の使用率)が高く、決まった寸法の板を高い寸法安定性(使用中に膨張・収縮などを起こしにくい)とともに、
大量生産に向いており安価に供給できるように考えられたものです。

一般にはベニヤと呼ばれていますが、正式にはベニヤとは合板を構成する1枚の単板のことであり、
合板はplywood(プライウッド)と呼ぶのが正しい呼び方ですが、
一般にはベニヤ板という名称が通っているようです

合板の規格

合板はJAS規格(日本農林規格)にて、
種類 サイズ 品質基準などが定められています。

種類

合板は種々な用途に合わせ、種々な材料を用い、種々な方法で加工される製品ですので、
JAS規格で分類されます。

種類用途
普通合板コンクリート型枠用合板、構造用合板、天然木化粧合板、特殊加工化粧合板以外の合板。
コンクリート型枠用合板コンクリートを打ち込み、所定の形に成形するための型枠として使用する合板(表面又は表裏面に塗装又はオーバーレイを施したものを含む)。
構造用合板建築物の構造耐力上主要な部分に使用する合板。
化粧ばり構造用合板木材質特有の美観を表すことを主たる目的として表面に化粧単板を貼り合わせた合板。
天然木化粧合板木材質特有の美観を表すことを主たる目的として表面又は表裏面に単板を貼り合わせた合板。
特殊加工化粧合板コンクリート型枠用合板又は天然木化粧合板以外の合板で表面又は表裏面にオーバーレイ、プリント、塗装等の加工を施した合板。
合板の日本農林規格より引用

ここでは家具や什器の製作によく使われる『普通合板』『コンクリート型枠用合板』『構造用合板』『化粧ばり構造用合板』について解説します。

普通合板

従来からベニヤと言われていた合板で用途が定まっていない合板全般。
家具や什器の製作に多く利用されます。
ラワン、シナなど広葉樹が主な原木で樹種の名前を付けて呼ぶ。
ラワン合板、シナ合板など。

普通合板に使われる樹種

国産材
カバ、ブナ、シナ、セン、タモ、ナラ、スギなど

南洋材(通称ラワン)
レッドラワン、タンギール、アルモン、マヤピスなどのラワン類、メランチ類、セラヤ、カプール、アピトン類など

その他
ロシア産針葉樹、北米産針葉樹、アフリカ材など

合板の通称

シナとはシナノキ科の広葉樹シナノキのことで、ラワンとは東南アジア産の広葉樹のことです。
表面がシナで芯材にラワンを使った合板は、シナベニヤまたはシナ合板と呼ばれ、
表面・芯材共にワランを使った合板は、ワラン合板と呼ばれます。
ワラン合板は、安価な普通合板です。

寸法は厚み2.3mm~24mm、幅910mm~1220mm、長さ1820mm~2430mmが通常です

コンクリート型枠用合板

コンパネと呼ばれ、コンクリートの打ち込みに使われる合板で、ラワンの他に針葉樹もあります。
一定の強度を備えた合板で建築用の型枠として使用されます。
屋外の使用を目的とするので、家具や什器製作に適した材料ではありません。

構造用合板

建築物の構造用耐力部材として用いられる合板
普通合板など他の合板に比べ、強度など一定の品質基準を持たせています。

化粧ばり構造用合板

構造用合板の表面又は裏面に木材質特有の美観を表すことを主たる目的とした
単板をはり合わせたもの

サイズ

ベニヤ合板の基準となる大きさは910mm×1820mm。
910mm・1820mmなど中途半端なサイズですが、昔の長さの単位「尺」が基準になっています。

尺は約30cm(30.303cm)
910mm×1820mmは横3尺、縦6尺の長さがあるのでブロク。
1220mm×2430mmだと4尺×8尺なのでシハチと呼びます。

そのため家具や什器の量産の規格も幅900mm・1200mm・1800mmや、
半分の450mm・600mmなどが多くなります。

厚みは、DIYや家具・什器の製作では3mm、6mm、9mm、12mm辺りがよく使用されます。
15mm以上になると重量が大きくなるので、普通合板以外で制作する場合が多いです。

接着剤性能JASによる分類

特類(フェノール樹脂接着剤等)

住宅の耐力壁等の構造用耐力部材や常時湿潤状態の場所で使用する合板
例-構造用合板、ヨット等舟艇用合板、足場板用合板

1類-タイプ1(メラミン樹脂接着剤など)

屋外や長時間湿潤の状態の場所で使用する合板
コンクリート型枠用合板、住宅下地用、建築物外装用合板

2類-タイプ2(ユリア樹脂接着剤など)

 家屋内装や多少湿気のある場所で使用できる合板
例-住宅、船舶、車両等の内装用合板、家具用合板

3類-(増量ユリア樹脂接着剤など)

家具の全く湿気のない場所で使用する合板
現在では特殊用途に限られ生産量もきわめて少ない

構成別

ベニアコアー合板

芯板、添え芯板に単板(ベニア)を使用した一般的な合板

ランバーコアー合板

芯板に木を使用した合板で通常13mm以上あります。ベニアコアーよりも重量が少なく家具、ドア、船舶の仕切り等に用いられます。

ボードコアー合板

ランバーコア同様に心板にパーティクルボードやMDF等を使用した合板です。

更に詳しい合板の規格等については、合板の農林規格をご確認ください。

合板の特徴とまとめ

家具や什器の利用では、箱物家具の部材となるフラッシュパネルの面材、建具ではドアパネルの面材等で大量に使われています。
その他楽器、運動具、玩具、文具など多目的に利用され地て欠くことの出来ない材料となっています。

合板は、一枚板の持つ歪み・反り・節・穴など欠点をクリアした材料です。
加工性に優れ、曲げ加工を施したデザイン性の高いインテリアにも用いられています。
天然一枚板に比べて価格が安いので、大量生産の家具などに多く使用されています。

加工のしやすさ、価格の安さなどの利点がある反面、
合板に使用される接着剤の化学物質が発散する有害ガス(ホルムアルデヒド)がシックハウス症候群の原因物質として問題となり、2003年に建築基準法で規制されるようになりました。
いまでは基準を満たした合板の家庭での使用は安全性が担保されています。

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